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サーチナニュース 2014-03-10 13:03
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台湾で原発の是非が政局の焦点に、「建設強行」と馬英九批判も
台湾では11月29日に、主要地方自治体7カ所の首長を決める統一地方選挙(七合一選挙)が実施されるが、台湾で4番目となる龍門原発(核四)の建設の是非が、政局の大きな焦点になる可能性が高まってきた。
馬英九政権側が2013年3月に「8月を目途に住民投票を行う」と表明しながら、住民投票について言及しなくなったことで、「反原発」の動きにおいて「政権批判」の色彩が強まった。
自由電子報などが報じた。
台湾では1970年代に原子力発電所の3カ所建設が始まった。
それぞれ核一、核二、核三(日本では第一原子力発電所などと呼ばれる場合も)と呼ばれる発電所は80年代半ばまでに商業発電を開始した。
いずれも政権・政策批判が許されない国民党の独裁時代だった。
台湾北部の新竹市の貢寮区での核四(第四原発)建設が最初に計画されたのは1966年だったが、中断や計画変更、反対運動の高まり、さらに建設中の事故などが続いた。
馬英九政権は中華民国歴100年の2011年に「建国100周年行事」として運転開始を目指していたが、2010年3月に1号機中央制御室で大規模な火災が発生したなどで実現できなかった。
反対運動の高まりには、1999年9月の茨城県東海村での臨界事故、02年の東京電力の原発損傷隠蔽発覚、11年の新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所全面停止、さらに2011年3月11日の東日本大震災に起因する福島第一原発事故など、日本で発生した一連の問題や事故で、原発の安全性や原発をめぐる企業体質などについての不信感が高まったことも関係した。
台湾・馬英九政権は2013年2月下旬、「核四」の建設について台湾全住民による住民投票で建設の是非を問う方針と表明した。
2004年施行の「公民投票法」による民意の問い直しだ。
ところが、馬英九政権は2013年8月に住民投票を実施する考えを表明したにもかかわらず、その後、住民投票について「音沙汰なし」になってしまった。
このことも、原発反対派を大きく憤らせた。
なお、2013年3月9日には、参加者10万人の「309全国廃核遊行(全国原発廃絶デモ)」が行われた。
同デモでは女優のリン・チーリン(林志玲)さんらが呼びかけ、イーサン・ルアン(阮経天)さん、チャン・チェン(張震)さん、ティファニー・シュー(許ウェイニン)さん、伊能静さん、ニウ・チェンザー(鈕承澤)さん、ウー・ニエンジェン(呉念真)さんなど多くの有名芸能人が積極的に参加したことでも注目を集めた。(「ウェイ」は王へんに「韋」、「ニン」は「密」の「山」部分が「用」)
また、観客動員数が世界最大とされる人気のバンド「Mayday(メイデイ、五月天)」が2013年に発表した映画「NOWHERE ノアの方舟」のストーリーを「『新エネルギー』施設の強引な建設が人類を破滅に導いた」としたことも、反原発のメッセージと見られている。
同バンドでは特にマサ瑪莎さんが、反原発の立場を鮮明にして、デモにも参加している。
台湾の「反原発」運動には、多くの芸能人が次々に賛意を表明するとの特徴がある。
デモなどでは極めて強く意見を主張するが、総じては理性的に行動をしている。
14年になってからも、3月8日に各地で反原発のデモが行わるなど、反原発の動きは衰えることがない。
8日には雨が降った台北でも、各メディアによると反原発デモに5万人が参加した。
ただし警察発表は2万人強だった。
芸能人による反原発運動で中心的存在のひとりである柯一正さん(1946年生まれ)は8日に台北市内で実施したデモに際して馬英九総統を
「ありがとう。あなたは私の活力のもとだ。
私はもともと反原発であるだけだった。
ところがあなたが(核四の建設を)強行しようとするものだから、私は反馬英九になった」
と批判した。
他のデモ参加者からも、「この1年で政府には失望した」との声が聞かれた。
馬英九政権の対応の悪さで、「反原発運動」が「反政権運動」の色彩を強めることになった。
台湾では11月29日に、7地域の首長を決める「七合一選挙」が実施される。与党:国民党からは、「七合一選挙」まで馬政権は原発について「身をひそめる」との見方が出ている。
「核四」についての住民投票問題は「触るとやけどをする不発弾」と化しており、最大野党の民進党が追及を始めた場合に、政権側にとっては極めて厳しい状況になるからという。
なお、台湾では「原住民(先住民)が多く住む地域に原発を作っている」との非難が出ている。
産業の発達が滞りがちな地域に対して電力会社などが利益を誘導して原発建設を進める構図だ。 台湾原住民とは中国大陸から漢人が来るはるか以前から台湾に住んでいた人々を指す。
「先住民」の語は中国語で「前にはいたが、今はいない」とのニュアンスがあり、「原住民」が正式用語とされている。
台湾で1970年代から80年代にかけて建設された原発、「核一」から「核三」までは、すべて米国製だった。
「核四」は日立製作所、東芝、三菱重工業など日本からの「輸出原発」だ。
そのため、日本でも台湾への原発輸出に反対する声が出た。
台湾で賛成派と反対派が厳しく対立していることを理由に、原発輸出が「台湾の日本非難」を誘発するとの見方も出た。
原子力発電所は軍事上、恰好の目標になりうる。交戦相手の原発をミサイル、航空機、その他のの手段で破壊すれば、通常兵器による攻撃であっても核兵器と同様、場合によってはそれ以上の被害を与えることができるからだ。
台湾の対岸である福建省では、寧徳原発の1号機が2013年に運転を開始。
同原発では最終的に6基を稼働させる計画で、さらに福州市福清でも原発が建設中だ。
仮に中国が台湾に武力侵攻した場合、台湾にとって純粋に軍事的方法論としては、中国大陸の原爆を攻撃するという選択肢がありうる。
国際的に極めて大きな非難を巻き起こすことは確実で、実際にはほとんどありえない可能性としても、中国としては考慮せねばならない問題だ。
しかし台湾にすでに原発があることから、中国にとっては「台湾による原発攻撃」に対する報復手段が存在することになる。
中国が台湾に近い福建省などに原発を建設しつつある背景には、
「台湾の攻撃を心配する必要はほとんどない」
との判断が働いていると考えてよい。
日本の場合も、原発は国防上の大きな弱点になりうる。
反応ユニットをミサイル攻撃に耐えるように設計しても、水の供給ができなくなっただけで大事故につながることは、東日本大震災でも示された。
ただし日本では、国家の安全保障を強調する政治勢力が原発の推進に積極的であるるなどの“ねじれ現象”が存在する。
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